債権の回収は、売掛金、貸金など適法に生じた債権を適法に回収することを念頭に置くことが大切です。確かに販売した対価や貸したお金は債務者は当然支払うべきではありますが、法的手続きを無視した回収行為は、逆に不適法な行為とされてしまいます。債権を回収することは当然の事と、回収の方法は別なのです。
たとえば、売掛金の請求をしても 支払ってくれないため、押しかけて暴力や脅迫を伴う請求をすると強盗罪・恐喝罪となることもあるのです。また、商品などを勝手に持ち帰ってしまえば、住居侵入罪・窃盗罪などの罪に問われてしまうこともあります。
わが国では、原則として自力救済は禁止されていますので、必ず法律に則した回収をするべきです。 たまにお金を払わない債務者より債権者のほうが悪く思われるケースがありますが、それは適法な回収をしないで不法な回収をしているからです。悪質な債務者やお金のない債務者に対してむきになって請求しても開き直られては大変です。
適法な回収をすることになりますと、法的な手続きなどその種類によって、また、債務者の状態によって回収作業の時間が異なってきます。債権の金額や債務者の状態などを考慮して手続きをおこなうのがよいでしょう。
債権の回収のは、回収者によってさまざまな方法があります。どの方法が一番良いのかは回収した結果論になりますが、とりわけ債権回収は債務者の状況、態度に頼らざるを得ないことがあるため、債権者側も臨機応変に回収作業をおこなうことが必要となります。
まず、契約書などのあるケースとないケースに分け、契約書などのない場合やあっても法的な効力の薄い場合には、債権の請求をおこないながら、今後に備えた証拠作りも同時におこない、ある程度の証拠書類ができたら内容証明で送付するといった債務者側の状況、債権者側の証拠書類の可否を考慮したうえで回収方法を債権者と決定していきます。
やみくもに内容証明書を送付することで誠実な債務者を憤慨させたり、証拠作りのための債務確認書に署名してくれなかったりすることもありますので注意が必要です。
支払いをしない債務者の多くは、他にも債権者がいることが多く、その返済にまわしている事が少なくはないのです。
したがって、支払いの請求をしても、その額にもよりますが、回収は簡単なことではないでょう。
しかし、債務者の『支払わなければいけない』という心理的な順番を変えることは可能です。債務者側からしてみれば、返済できる金額がある場合、まず自分の状況を悪化させる債権者から返済するのは当然でしょう。
暴利行為をおこなう債権者に対する返済がそのひとつではありますが、これは先に説明しましたように自力救済は原則として禁止されていますし、場合によっては刑事事件になってしまいますのでやめるべきです。
やはり法治国家であるわが国では、法律による手続きが一番の効力があり、法により認められた方法でもあるのです。
当然、催告のない債権者よりも催告のある債権者に支払うでしょうし、証拠のない債権者より証拠のある債権者に支払い、証拠のない債権者は、債務者に開き直ってしまわれることもあるでしょう。
そして、裁判所による強制執行等の手続きの段階まで来てしまった場合、債権の存在を主張することは容易ではないでしょう。そのための証拠書類の収集や時効中断、あるいは金銭債権ヘの切り替えなどを債務者に書面で通知しながら、本来の目的である請求行為もおこなっていくのが、債権回収のひとつの方法でもあります。
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